金曜日に思い切って一日お休みをいただいて、2泊3日で北海道へ行ってきました。
旅にはいろいろなテーマの立て方がありますが、振り返ってみると今回の旅はどこを切り取っても「愛」がついて回っていたように思います。地名にも、立ち寄った先にも、出会った生きものにも、そして取引先とのご縁にも。せっかくなので、今回は「愛」を一本の糸にして、旅の道のりを書いてみようと思います。
金曜のフライトで北海道へ降り立ち、空港でレンタカーを借りて、まず向かったのは帯広。ここからリベンジ旅が始まります。
帯広「ぱんちょう」で豚丼リベンジ成功
帯広といえば、私の中ではどうしても外せないお店があります。元祖豚丼の名店「ぱんちょう」です。
実は前回訪れたときは、お店の前まで来たものの満席で入ることができず、泣く泣く諦めた苦い思い出がありました。だからこそ今回は、何としても食べたい。旅の最初の目的地として、まっすぐお店を目指しました。

暖簾をくぐって席につき、ようやく念願の豚丼と対面したときの満足感といったらありません。炭火で香ばしく焼き上げた豚肉に、甘辛いタレがしっかり絡んで、ごはんが止まらない。長く愛され続けてきたお店には、やはりそれだけの理由があるのだと、一口ごとに納得させられます。
リベンジ、まずは成功。一つの「やり残し」を片づけられただけで、旅の出だしが一気に軽やかになりました。
帯広神社と「しまえながおみくじ」
おなかが満たされたところで、翌朝は帯広神社へお参りに向かいました。
今回どうしても引いてみたかったのが「しまえながおみくじ」。北海道に暮らす小さな野鳥・シマエナガをかたどった、なんとも愛らしいおみくじです。真っ白でまんまるな姿は、見ているだけで頬がゆるんでしまいます。

参拝を済ませ、いざおみくじを引いてみると――なんと、一緒に巡った中で私ひとりだけが大吉。こういう小さな幸運は、口にすると照れくさいものですが、やっぱり嬉しい。旅先で手のひらに乗せた小さなシマエナガが、この先の道中を見守ってくれるような、そんな気持ちになりました。
愛国駅から幸福駅へ ―「愛の国から幸福へ」再達成
さて、ここからが今回の旅のテーマの中心です。
帯広の近郊には、その名も「愛国駅」と「幸福駅」という二つの駅跡があります。かつて鉄道が走っていた頃、「愛国から幸福ゆき」の切符が縁起物として大人気になり、全国的なブームを巻き起こした、あの場所です。
まずは愛国駅へ。駅前には「愛国から幸福ゆき」と刻まれた大きな切符のモニュメントが鎮座しています。

そして幸福駅へ。こちらの待合室は、訪れた人たちが貼り付けていったピンクの切符でびっしりと埋め尽くされていて、壁も天井も一面のピンク。一枚一枚に、誰かの願いや想いが込められているのだと思うと、ちょっと壮観です。

「愛の国から幸福へ」――言葉にすると少々くすぐったいですが、この区間をたどるのは実は二度目。つまり、今回も無事に”再達成”というわけです(笑)。
ベタといえばベタなのですが、愛から始まって幸福へ向かう、というこの流れ、何度たどってもどこか気持ちのいいものです。商売にも通じる気がします。お客さまや仲間への愛着があるからこそ、その先に幸福(=満足や信頼)が生まれる。順番が逆ではない。そんなことを、ピンクの切符を眺めながらぼんやり考えていました。
道の駅で、取引先が支援したロケットと再会
旅を続けて向かったのは、大樹町の道の駅。ここは昨年も立ち寄った場所です。
なぜ二年続けて足を運んだかというと、ここに展示されている一基のロケットに、私たちの取引先が支援という形で関わっているからです。

宇宙への挑戦と、私たちの仕事。一見すると遠く離れた世界のようでいて、こうして思いがけない場所で「ご縁」がつながっているのを目の当たりにすると、なんとも言えない誇らしさを感じます。
仕事の付き合いというのは、突き詰めれば人と人、会社と会社の信頼の積み重ねです。普段は図面や納期や数字のやり取りが中心ですが、その向こう側には、こうして夢のある挑戦を支える役割があったりする。これもまた、仕事への「愛着」のなせるご縁なのだろうと思います。旅先でわざわざ会いに来てしまうあたり、我ながら律儀なものです。
襟裳岬のアザラシ ― 今年もリベンジならず
続いて向かったのは、襟裳岬。ここにも、私には「やり残し」がありました。アザラシです。
襟裳岬は、野生のゼニガタアザラシが暮らす場所として知られています。前回は岩場でくつろぐ姿を見られず、今回こそはと意気込んで訪れたのですが……。

結果は、今年もまたしても泳いでいる姿を遠くに見るのみ。岩場にのんびり上がっている、あの可愛らしい姿を拝むことは叶いませんでした。
時間帯がよくなかったのか、それとも天候の問題か。アザラシが岩場に上がってくるのは潮の満ち引きや天気にも左右されるそうなので、こればかりは相手(と自然)次第。次に来るときは、もう少し時間帯をずらしてみようかな……と、早くも三度目のリベンジを心に誓うのでした。すべてが一度で叶わないのも、また旅の面白さということにしておきます。
登別温泉と、のぼりべつクマ牧場
その日はそのまま移動して、夜は登別温泉へ。温泉でゆっくり体をほぐし、旅の疲れを流しました。
翌朝、向かったのは「のぼりべつクマ牧場」。ここで、今回いちばん心が動いた光景に出会いました。
生まれたばかりの子グマたちです。

まだ体も小さく、よちよちと歩く姿や、じゃれ合う様子は、ただただ愛おしいの一言。何匹もの子グマがかたまって遊んでいる光景に、すっかり時間を忘れて見入ってしまいました。
一方で、大きく育ったクマたちのエリアでは、こちらに向かって餌をねだる姿も。両手を上げて「ちょうだい」とアピールしてくる仕草は、見ている分には実にかわいらしいものです。

ただ、です。
最近、各地で報じられている熊をめぐる出来事を思うと、ここで感じる「かわいい」という気持ちと、現実とのあいだに、なんとも言えない複雑なものが残ります。柵の内側で安全に眺めているからこそ抱ける愛おしさであって、自然の中での人と熊の距離感は、決してそんな単純な話ではない。同じ生きものに向ける感情なのに、こうも揺れるものかと、しばらく考え込んでしまいました。
愛おしさと畏れ。そのどちらも本物で、簡単に折り合いのつくものではないのだと思います。
最後はクマのトリックアートで
少ししんみりしてしまいましたが、旅の締めくくりはやっぱり笑いで。
牧場にあったクマのトリックアートで、思いっきり遊んできました。

巨大なクマに壁を突き破られて襲われている、という設定の一枚。我ながら全力の悲鳴の表情で、これはなかなかの会心の出来です(笑)。直前まで熊について真面目に考えていた反動もあって、よけいに弾けてしまったのかもしれません。
おわりに ― 次は冬、シマエナガに会いに
こうして、愛から始まって幸福へ向かい、ご縁に出会い、生きものに心を動かされ、最後は笑って締めくくる――そんな2泊3日の北海道リベンジ旅でした。
豚丼のリベンジは成功、アザラシのリベンジは持ち越し。全勝とはいきませんでしたが、やり残しがまた一つの「次に来る理由」になるのだから、旅というのはよくできています。
そして今回、手のひらに乗せたあの小さなシマエナガ。次はぜひ、おみくじではなく本物に会いに行きたい。雪化粧をまとった真冬の北海道で、枝にとまるまんまるなシマエナガを見つけるのが、新たな目標になりました。
冬の北海道、また計画を練ってみようと思います。

