月曜日恒例の社長ブログです。ここ最近、ニュースを見るたびに胸が締め付けられる思いが続いています。
千葉や北陸エリアを襲った記録的な豪雨、そして熊本で発生した大きな地震。
被災された地域の皆様、そして不安な日々を過ごされている皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
1. 頻発する自然災害と、製造業が直面する「供給寸断」の現実
私たちが住む日本は、豊かな自然に恵まれている一方で、常に地震や台風、大雨といった自然災害のリスクと隣り合わせにあります。そして、ひとたび大きな災害が発生した際、私たち製造業や部品供給に携わる企業が直面するのが「サプライチェーンの切断」という極めて深刻な問題です。
「たった1本のねじが届かない」
一般の方から見れば、小さな金属のパーツに過ぎないかもしれません。しかし、モノづくりの現場において、その1本のねじが欠けることは、巨大な産業機械の組み立てが止まり、工場のライン全体がストップすることを意味します。過去の災害でも、部品1点の供給が途絶えたことで、何百キロも離れた完成車メーカーや精密機械工場が操業休止に追い込まれる光景を、私たちは何度も目の当たりにしてきました。
災害そのものを止めることはできません。しかし、災害によって産業の血流である部品供給を止めてしまうことは、対策次第で防ぐことができるはずです。「万が一の事態が起きたとき、いかにして現場にねじを届け続けるか」。これは単なる一企業の防災計画を超えた、日本の製造業全体に関わる最重要課題なのです。
2. 一社の限界を超えた「全国広域連携」という決断
これまで多くの企業が取り組んできたBCP(事業継続計画)は、自社工場や自社倉庫の耐震化、非常用電源の確保、あるいは代替拠点の自社整備といった「単独企業完結型」のものが主流でした。
しかし、冷静に考えてみてください。中小企業である私たちが、全国各地に自前のバックアップ倉庫や代替生産拠点をいくつも保有することは、現実的なコストや運用の面で極めて困難です。また、仮に岡山にある弊社の拠点や設備が無事であったとしても、仕入れ元のメーカーや輸送ルートが被災してしまえば、結局のところお客様への供給は途絶えてしまいます。
一社の努力だけで守れる範囲には限界がある──。この痛烈な気づきから生まれたのが、全国の同業者やパートナー企業と手を取り合う**「全国広域連携ネットワーク(ねじ屋BCP)」**という構想です。
「同業者=ライバル」という従来の枠組みにとらわれていては、これからの時代の大規模災害には立ち向かえません。平時には切磋琢磨する競合でありながらも、「日本のものづくりを守る」という大きな目的のもとでは、固い絆で結ばれたパートナーとなる。東日本大震災や熊本地震の教訓を経たからこそ、私たちは地域を超えた「共創」の仕組みへと舵を切りました。
3. 現実の壁と泥臭い第一歩 ── データ連携は10年かけて挑む大課題
「全国広域連携」と口で言うのは簡単ですが、実際の現場には大きな壁が立ちはだかっています。
「リアルタイムでシステムを繋ぎ、在庫データを自動連携する」
IT大企業であれば容易かもしれませんが、全国の現場を支える私たち中小のねじ屋にとって、基幹システムの仕様も違えばIT投資の体力もバラバラです。正解から言えば、システムによる完全なデータ連携なんて、正直まだまだできていません。これから10年くらいかけて、業界全体でじっくり解決していくべき巨大なテーマです。
だからといって、「システムが繋がるまで何もしない」わけにはいきません。
システム連携がまだなら、まずは“人の繋がり”で補えばいい。被災地から助けを求める一本の電話やFAXが入ったとき、全国の仲間が「ウチの倉庫にあの規格なら在庫があるぞ!」「代わりにこちらから出荷手配をかける!」と即座に動く。そんな泥臭くも確実な「助け合いのホットライン」を平時から作っておくことこそが、現在の私たちが取り組んでいるリアルなBCPです。
10年後の完璧なデジタル連携を目指しながらも、今日明日の危機にはアナログな人の絆と熱量で立ち向かう。この泥臭さこそが、中小企業の現場力であり、強みなのだと感じています。
4. 「日本のものづくりを止めない」── 私たちが掲げる熱い使命感
私たち三協鋲螺(ねじ屋。)には、大切にしている経営理念とビジョンがあります。
それは、**「あらゆるものを繋ぎ、世のため・人のため・地域へ貢献する」**ということ。
ねじという商品は、文字通りモノとモノを機械的に繋ぐ部品です。しかし、私たちの本当の仕事は、ねじを通じて「お客様の技術」と「未来の製品」を繋ぎ、「現場の安心」と「社会の発展」を繋ぐことだと考えています。
今回の千葉・北陸の豪雨や熊本の地震のニュースを聞き、改めて現場の職人さんや工場の皆さんの顔が浮かびました。「納期に間に合わせるために、日々現場で汗を流している方々の手を、災害ごときで絶対に止めたくない」。その強い想いこそが、私たちの原動力です。
「日本のものづくりを止めない。」
これは単なる格好の良いスローガンではありません。世界に誇る日本の製造業が、どんな困難に直面しても立ち上がり、製品を作り続けられるようにするための「下支え」になるという、私たちの覚悟の表れです。
小さなねじ屋一社ができることは限られているかもしれません。しかし、泥臭く熱い想いを持った全国のねじ屋が手を取り合えば、日本全国を網羅する強固なインフラを作ることができます。「三協鋲螺と繋がっているから、どんな時でも安心してラインを動かせる」。お客様にそう言っていただける存在であり続けるために、私たちは歩みを止めません。
5. 未来への安心を届けるために ── 一歩ずつ、泥臭く進化を続ける
自然災害の脅威は、今後も無くなることはないでしょう。気候変動による豪雨の激甚化や、南海トラフ巨大地震などのリスクも指摘されています。だからこそ、私たちは「過去の成功体験」に甘んじることなく、この広域連携BCPの仕組みをさらに進化させていかなければなりません。
今はまだ電話やFAX、人の熱量に頼る部分が大きい連携ですが、ここから5年、10年をかけて一歩ずつシステムや仕組みを整備し、より確実でスピーディーな供給網へと育てていきます。
そして何より重要なのは、この取り組みに賛同してくれる仲間(パートナー企業)を全国にさらに広げていくことです。一企業の利益を超えて、業界全体、ひいては日本全体の「ものづくり基盤の強化」に貢献すること。それこそが、私たちが目指す「一番お客様に喜ばれるねじ屋。」の姿であり、真の社会貢献だと確信しています。
被災された地域の皆様が一日も早く穏やかな日常を取り戻せることを祈りつつ、私たちは私たちの現場で、日本の製造業を支えるためのベストを尽くし続けます。
「日本のものづくりを止めない」熱い想いを胸に、今週も社員一丸となって元気に駆け抜けてまいります!
今週もよろしくお願いいたします!

