「旅行」と聞いて、まず思い浮かべるのは、家族や友人、恋人と行く時間かもしれない。でも、僕はあえて言いたい。「一人旅」こそが、人生を動かす特別な時間になると。
今日はそんな話をしたい。
一人旅の魅力とは?
一人で旅をすることに、不安や寂しさを感じる人も多い。でも、一人だからこそできることがある。
行きたい場所に、行きたい時間に向かい、誰に気を遣うでもなく、何を食べ、何を見るか、すべてを自分で決める。
それはつまり、「自分の感覚に従って生きる」という体験なんだ。
普段の生活では、家族、会社、社会に求められる「役割」を演じていることが多い。だけど旅先では、その役割から解放される。誰の期待にも応えなくていい。その代わり、自分にだけは正直でいなきゃいけない。
一人旅は、自分との対話だ。
トラブルの中にこそ、人の優しさが見える
昨年のお盆休みに、タイのチェンライを一人で旅した時のこと。
僕はバイクを借りて山の中を走っていた。ところがその道中で、なんと2度もパンクした。
1度目は運よくバイク屋の目の前で、すぐに修理できた。でも、2度目は本当に心細かった。
あたりは山道、民家もない。炎天下の中、20キロ近くもバイクを押して歩くしかない…と絶望していた時、奇跡のように一台のバイクが僕の横に止まった。
乗っていたのは、まだ少年と呼べるくらいの若い男の子。言葉は通じない。でも彼は、迷わず僕に声をかけてきた。
身振り手振りで「ついてこい」と。
だけど、押していてはとても追いつけない。
ふと、僕は考えた。「このまま、パンクしたバイクにまたがって、走るしかない」と。
もちろんガタガタするし、スピードは出ない。でも、彼は何度も後ろを振り返ってスピードを落としながら、僕を導いてくれた。
そのやさしさと根気に、心がじんわりと温かくなった。
ようやく、彼が連れて行ってくれたのは、山の中のバイク修理屋。
無事に直すことができて、街に戻ることができた。
もし彼がいなかったら、僕は今でもあの山道を押して歩いているかもしれない(笑)。
人生の中に旅を置くということ
――Work in the Lifeという考え方
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉があるけれど、僕はそれに少し違和感がある。
仕事と生活を天秤にかけてバランスを取るんじゃなくて、人生という大きな一つの器の中に、仕事も旅も趣味も人間関係も、すべてが自然に混ざっている状態がいいと思ってる。
これを僕は「ワーク・イン・ザ・ライフ」と呼んでいる。
一人旅もそのひとつ。
日常から少し離れた場所に身を置くと、不思議と仕事のアイデアが湧いてきたり、人間関係の悩みがふっと軽くなったりする。
旅は、人生の中の“整える時間”なんだ。
MLAにつながる、自分を生きるということ
僕が立ち上げようとしている「MLA(Master of Life Administration)」という考え方も、まさにここに通じている。
人生を誰かに委ねるのではなく、自分自身で設計し、自分で舵を取る。
そのために必要なのは、外の喧騒から離れて、自分の声に耳を傾ける時間だ。
一人旅は、その練習にもなる。
「凛とした自由が、あなたの中にある」――MLAのキャッチコピーに込めた思いは、旅先の朝、目覚めたときに感じるあの静けさと、すごくよく似ている。
最後に:まずは小さな一歩から
大げさな計画なんていらない。
日帰りでもいい。行ったことのない駅で降りて、知らないカフェに入ってみる。
それだけでも立派な一人旅。
自分と再会する時間を、ぜひあなたの人生にも取り入れてほしい。