月曜日恒例の社長ブログです。
今日は、最近ますます重要性が高まっている「BCP(事業継続計画)」について、改めて書いてみたいと思います。
以前のブログでも、私たちが考えるBCP戦略について触れました。
まだお読みでない方は、まずこちらもご覧いただければと思います。
ねじ供給を止めない。広域連携で実現するBCP戦略
https://www.nejiya.co.jp/archives/13815

前回の記事では、なぜ今BCPが重要なのか、そしてなぜ広域での連携が必要なのかという「考え方」や「方向性」を中心にお伝えしました。
今回の記事では、その続編として、では実際にそれをどういう仕組みで機能させようとしているのか、もう少し具体的な部分に踏み込んで書いてみたいと思います。
つまり今回は、BCPの“思想編”ではなく、実装編です。
1.「供給が止まる」という現実
私たちの仕事は、ねじを扱うことです。
たった1本、されど1本。
この「たった1本のねじ」が届かないだけで、製造業の現場ではラインが止まることがあります。
設備がそろっていても、人がそろっていても、最後の部品がひとつ足りないだけで生産は止まってしまう。これは決して大げさな話ではなく、現場では十分に起こり得ることです。

ねじは小さな部品です。
しかし、その小ささとは裏腹に、役割は非常に大きい。最後に締結できなければ製品として完成しない以上、「なくても何とかなる」ものではありません。
だからこそ、私たちの仕事には責任があります。
単に注文されたものを届けるだけではなく、必要なときに、必要なものを、止めずに届けること。そこまで含めて、価値だと考えています。
2.なぜ今、BCPがここまで重要になっているのか
ここ数年、日本では地震、台風、豪雨などの自然災害が相次いでいます。
加えて、物流の混乱や人手不足、原材料の高騰など、企業を取り巻く環境は以前よりはるかに不安定になっています。
こうした状況の中で、これまでのように「いつもの仕入先があるから大丈夫」とは言い切れなくなってきました。
自社が無事でも、取引先や物流網が被災すれば供給は止まる。つまり、問題は自社の中だけでは完結しないのです。

従来のBCPは、「自社をどう守るか」という視点が中心だったように思います。
もちろんそれも大切です。けれど、私たちのように供給を担う立場の会社にとっては、それだけでは足りません。
本当に考えるべきなのは、どうやって供給を止めないか。
そこまで踏み込んで初めて、実効性のあるBCPになるのではないか。私はそう考えています。
3.三協鋲螺の答え|全国広域連携という仕組み
では、そのためにどうするのか。
私たち三協鋲螺が出した一つの答えが、全国広域連携という考え方です。
岡山だけで完結するのではなく、広島、京都、宮城といった複数地域の企業と連携し、もし一つの拠点が被災しても、他の拠点から供給を補完できる体制をつくる。
単独では守れないものを、つながることで守る。それがこの取り組みの核にあります。
ここで大事なのは、「単に仕入先を増やした」という話ではないことです。
また、「在庫をたくさん持てばいい」という単純な話でもありません。

目指しているのは、ネットワークとして供給を維持する仕組みです。
あらかじめつながり、考え方を共有し、いざというときに動ける関係を平時から整えておく。これが重要です。
前回の記事では、この広域連携の考え方そのものをお伝えしました。
今回、あえてもう一歩踏み込んで書いているのは、BCPは理念だけではなく、実際に動く仕組みにしてこそ意味があると考えているからです。
4.災害時にどう機能するのか
では、この仕組みは具体的にどのように機能するのか。
たとえば、ある地域の拠点が地震や豪雨などで被災し、一時的に通常業務が難しくなったとします。
通常であれば、その拠点経由で供給されていた商品は止まってしまう可能性があります。
しかし、広域連携の体制ができていれば、他地域の連携先が状況を共有し、在庫や対応可能な範囲を確認しながら、代替供給に向けて動くことができます。
必要に応じて配送ルートを見直し、どこからどのように届けるのが最も現実的かを判断する。そうした動きが可能になります。

ここで重要なのは、災害が起きてから慌てて探すのではなく、平時から関係性ができていることです。
平時につながっていないものは、有事にはまず機能しません。
だからこそ、BCPは紙の上で作る計画だけでは不十分です。
実際に「この会社とならこう動ける」という具体性と、顔の見えるつながりが必要になります。
5.なぜここまでやるのか|私たちの使命
では、なぜここまでやるのか。
それは、私たちの仕事が単なる部品販売ではないと考えているからです。
ねじは製造業において、ごく小さな部品です。
しかし、製品を組み上げる最後の要素として欠かせない存在でもあります。
つまり、ねじが止まるということは、お客様の生産活動が止まることにつながりかねない。
だからこそ、「ねじを届ける会社」であると同時に、お客様の事業継続を支える会社でありたい。そう思っています。
当社の理念には「つなぐ」という言葉があります。
私はこの言葉を、とても大切にしています。商品をつなぐ、人をつなぐ、地域をつなぐ。そして今回のように、有事に備える仕組みそのものもまた、つなぐことで成り立つ。

BCPはコストではありません。
信頼であり、価値です。
何かが起きたときに、「この会社なら何とかしてくれるかもしれない」と思っていただけること。
それが、長く取引していただくうえで大きな意味を持つと考えています。
6.中小企業こそBCPが必要な理由
BCPという言葉を聞くと、大企業が取り組むものという印象を持たれる方もいるかもしれません。
けれど、私はむしろ逆だと思っています。中小企業こそ、BCPに本気で向き合う必要があります。
理由は単純です。
止まったときのダメージが大きいからです。
大企業であれば、代替ルートや代替拠点を複数持っていることもあります。
しかし、中小企業はそう簡単ではありません。人も限られ、拠点も限られ、余力も大きくはありません。
だからこそ、単独で抱え込むのではなく、連携するという発想が大切になる。
一社では難しいことでも、複数社で補い合えば現実的になる。これは中小企業だからこそ持てる強みでもあると思います。
規模が小さいからできないのではなく、規模が小さいからこそ、どうつながるかが問われる。
私はそう感じています。
7.これから取り組むべきこと
もちろん、この仕組みも作って終わりではありません。
むしろ、ここからが本番です。
BCPは、「ある」と言うだけでは意味がなく、実際に動くことが大切です。
そのためには、平時の確認、情報共有、そして訓練が欠かせません。

私たちは今後、防災の日である9月1日や、3月11日といった節目をひとつの機会として、定期的な訓練や見直しを行っていきたいと考えています。
本当に機能するのか。想定していなかった課題はないか。改善すべき点は何か。そうしたことを一つひとつ確認しながら、実効性を高めていくつもりです。
ここでも大切なのは、完璧なものを最初から目指すことではなく、育てていくことだと思っています。
BCPは一度作って終わるものではなく、環境の変化や現場の実情に合わせて磨き続けるものです。
8.まとめ|「止めない」という価値を届ける
今回お伝えしたかったことは、とてもシンプルです。
供給を止めない。
その価値を、私たちは本気で考えています。
以前の記事では、広域連携によるBCP戦略の「考え方」をお伝えしました。
そして今回は、その考え方をどう仕組みにしていくかという、より実務に近い視点で書きました。
同じBCPをテーマにしていても、今回は重ね書きではなく、思想から実装へ一歩進めた記事のつもりです。
それだけ、このテーマは私たちにとって大切であり、言葉だけで終わらせたくない取り組みでもあります。

製造業において、部品供給は命綱です。
その中でも、ねじは小さくても絶対に欠かせない存在です。
もし今、仕入先のBCPまで十分に意識したことがなかったとしたら、ぜひ一度考えてみていただきたいと思います。
もし供給が止まったらどうなるか。代替手段はあるのか。いざというとき、誰がどう動くのか。
私たちは、その「もしも」に備えるパートナーでありたいと考えています。
ご相談やご質問があれば、どうぞお気軽にお声がけください。
これからも三協鋲螺は、
止めない価値を届けていきます。

